膜分離とは?
フィルターを使ったコーヒーのドリップはすぐに想像できると思います。これはコーヒー豆を通さない程のフィルターを使うものですが、水処理においては、懸濁物質やコロイド、細菌類などの分離を目的に、もっともっと目の細かいフィルターを使い、さらに圧力をかけて分離を行います。
分離膜法の種類
使用する膜の目の細かさ(分離対象)によって次のようなものがあります。
精密ろ過膜法
・精密ろ過膜(MF:Micro Filtration)を使う方法
・水中の0.05~10μm程度の微粒子(懸濁物質や細菌など)が分離対象
・200~300kPaの圧力が必要
・膜の材質は、フッ素樹脂やポリプロピレンなど
限外ろ過膜法
・限外ろ過膜(UF:Ultra Filtration)を使う方法
・水中の分子量1,000~100万程度の高分子物質(タンパク質や細菌、ウィルスなど)が分離対象
・300~500kPaの圧力が必要
・膜の材質は、ポリスルホン、ポリイミドなど
逆浸透膜法
・逆浸透膜(RO:Reverse Osmosis)を使う方法
・500kPa以上の圧力が必要
・水中の分子量数千までの低分子物質(無機塩、糖類、BOD、CODなど)が分離対象
・膜の材質は、ポリアミド系、アセチルセルロースなど
・逆浸透の原理を利用したもので、膜をふるいの様に利用するMFやUFとは原理が異なる
ナノろ過膜法
・ナノろ過膜(NF:Nano Filtration)を使う方法
・水中の分子量数百~数千の低分子物質(硬度成分など)が分離対象
・逆浸透膜法に比べて低圧で運転できるが、塩化ナトリウムの除去率が低く、ルーズRO法とも呼ばれる
[逆浸透とは?]
淡水と塩水を例に逆浸透を説明します。
まずは、半透膜に仕切られた容器に片側に淡水、もう片方に塩水を入れます。すると、淡水が塩水の方向へ自然にしみ込み、塩水を希釈します。これを浸透といい、この時できた水位差を浸透圧といいます。
ちなみに、野菜を塩漬けした時に、野菜の細胞内から水分がでてくるのもこれと同じ現象です。
その後、塩水側に浸透圧よりも大きな圧力をかけると、淡水だけが半透膜を通過します。これを、逆浸透といいます。逆浸透膜法では、この原理を分離に利用しています。
全量ろ過とクロスフローろ過
膜面に対する水の流し方によって、全量ろ過方式とクロスフローろ過方式があります。
全量ろ過方式
膜面に対して垂直に水を流す方式で、一般的に私たちが「ろ過」と聞いてイメージする水の流れだと思います。
クロスフローろ過方式
膜面に対して水平に水を流す方式で、膜が詰まりにくい利点がありますが、大流量を流すため、大きなポンプが必要になります。
電気透析法
陽イオンまたは陰イオンのどちらかだけを透過させる膜を交互に配置したものに、両端から直流電圧を加えると、陽陰それぞれのイオンが膜を透過して分離(脱塩)します。
電気透析法では、コロイドや有機物は除去できず、溶解された塩類の除去に用いられます。