活性炭とは?
活性炭は、炭素を主成分とし、他に酸素や水素、カルシウムからなる多孔質の物質です。その原料により、大きく木質系(松やヤシ殻など)と石炭系に分けられます。また、粒子径により、粉末炭(150μm以下)と粒状炭(150μm以上)に分けられます。
吸着の仕組み
その多孔質構造によって、1gあたりの表面積は700~1,400㎡にもなり、微細な穴に多くの物質を吸着させます。
また、その吸着には次のような傾向があります。
・活性炭の表面は疎水性が強いため、疎水性の強い物質ほど吸着されやすい。
・分子量が大きい物質ほど吸着されやすい。
・脂肪族よりも芳香族化合物(ベンゼンやトルエンなど)の方が吸着されやすい。
・溶解度が低い物質ほど吸着されやすい。
・溶液の表面張力を減少させる物質ほど吸着されやすい。
・吸着量や吸着速度は、水温にあまり影響されない。
活性炭吸着装置
活性炭吸着装置の選定にあたっては、主に次の3つの方法があり、前後の排水処理方法や用いる活性炭の種類などを考慮して決定する必要があります。
・攪拌槽吸着法
主に粉末炭で用いられる方法で、反応槽に活性炭を添加し、攪拌することで、活性炭に吸着させます。その後、吸着が完了したら活性炭を沈降分離します。
・固定層吸着法
粒状炭を用い、現在最も多く用いられている方法です。構造は圧力式砂ろ過機とほとんど同じで、上部から通水し、装置内に充填された活性炭によって吸着をおこないます。
この方法は、はじめのうちは問題なく吸着が行われるものの、時間の経過とともに処理水中の有機物濃度が上昇していきます。その有機物濃度が許容値を超える点を破過点といい、この破過点を超えて使用し続けても全く吸着されなくなるため、装置内の活性炭を新炭もしくは再生炭に交換する必要があります。
・移動層吸着法
装置内に充填した活性炭を一定期間経過した後に再生炭と入れ替える方法です。一回の入れ替え量は全体の5~20%程度で、処理水は常に再生直後の活性炭に接触するため、高い吸着量を維持することができます。
活性炭の再生
活性炭の再生方法には次のようなものがあります。
・乾式加熱法
高温で加熱再生する方法で、ほとんどすべての有機物の分解が可能なため、最も多く使用されています。短時間で再生でき、廃液が出ないという長所がある一方で、1回の再生で3~10%の損失が出ることや、装置が高価という欠点もあります。
・湿式酸化法
加圧下で200℃以上に加熱し、吸着した有機物を酸化分解する方法です。
・薬品再生法
有機溶媒などを使用して化学的に溶離する再生方法です。
・電気化学的再生法
電気分解したときに発生する酸素で有機物を酸化分解する方法で、活性炭を電極として使用します。
・微生物再生法
微生物によって有機物を分解、再生する方法です。