懸濁物質を沈めて水と分離する操作を沈降分離と呼びます。ここでは、その沈降分離をどのように行っているのか見ていきます。
沈降分離とは
沈降分離は、大きく普通沈殿と凝集沈殿に分けることができます。
両者の違いは沈降の前に凝集を行うか否かで、普通沈殿は、凝集処理を行わず、そのまま沈降分離させるもので、都市の下水道などで採用されています。
沈殿槽の種類(クラリファイヤ)
沈降分離を行う水槽を沈殿槽と呼び、その形状には長方形と円形があります。
1)円形沈殿槽
センターウェルを経て排水が流入、汚泥が沈降し、上澄水とわかれます。沈殿槽の底部に溜まった汚泥は、汚泥かき寄せ機によって真ん中に集められ、排出されます。また、上澄水は次の処理工程へ送られます。
2)横流式沈殿槽(長方形沈殿槽)
排水は整流板で整流されて槽内へ流入し、横方向に流れながら、汚泥は沈降していき、上澄水とわかれます。沈降した汚泥は汚泥かき寄せ機によって一箇所に集められ排出されます。また、上澄水は次の処理工程へ送られます。
傾斜板
一定の水量で比較した場合、表面積を増やすことで分離の効率が向上します。しかし、敷地を十分に確保できない場合も考えられます。そのような場合に、有効分離面積を増やす手段として、傾斜板を用います。
粒子の沈降速度
水中の粒子単体が重力によって沈降を始めると、その速度は次第に加速していきます。しかし、ある時点で粒子に働く摩擦抵抗力と浮力の和と重力が等しくなり、それ以降は一定速度で沈降するようになります。この速度を終末沈降速度といい、一般に粒子の沈降速度とは、この終末沈降速度のことを指します。