凝集分離とは?|水処理技術

水中に漂っている粒子のうち、大きな粒子は自然に沈んでいき、分離できますが、小さな粒子は漂い続け、簡単に分離することができません。そこで、凝集分離という方法がとられます。ここでは、その仕組みについて見ていきます。

コロイド粒子が主な処理対象

大きさが1μm以下の粒子はコロイド粒子と呼ばれ、機械的な分離ができないため、凝集分離によって処理されます。

さらに、粒子径が0.001μm以下の粒子は分子状のため、化学的に一度析出させた後に凝集分離されます。

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 コロイド粒子 … 身近な例では、コーヒーや牛乳などがあります。

 粒子径 … タバコの煙の粒径は0.5~0.7μm

コロイド粒子をくっつける凝集剤

水中でコロイド粒子は表面が正または負に荷電しており(負の場合が多い)、互いに反発しあって水中に散らばっています。そこへ反対荷電を持ったコロイドやイオンを添加することで、粒子同士が引きつけ合う力が反発力を上回り、凝集が起こります。凝集によってできた粗大粒子をフロックと呼び、この凝集を目的に添加する薬品を凝集剤と呼びます。

凝集剤についてもう少し

水処理に用いるため無害である必要があり、また、コスト面から安価なものが望ましく、一般的にはアルミニウムまたは鉄の塩類が多く用いられます。しかし、これら無機凝集剤によってできるフロックは強度に乏しく、大きさや沈降速度には限界があります。そのため、少量の添加量で大きなフロック形成が可能な高分子凝集剤(有機凝集剤)を用いることもあります。高分子凝集剤は粒子と粒子の間に橋を架ける作用(架橋作用)をすることでフロックを粗大化します。

高分子凝集剤は、陽イオン性・陰イオン性・非イオン性に分類され、さらに分子量などにより多くの種類に分かれています。

味噌汁にとろろ昆布を入れると凝集する?

味噌汁にとろろ昆布を入れて、味噌のつぶつぶが少し大きくなったのを見たことはありませんか?

これは、とろろ昆布に含まれるアルギン酸ナトリウムが凝集剤となり、浮かんでいる大豆の粒子が凝集し、少し大きなかたまりになったのです。(アルギン酸ナトリウムは実際に凝集剤としても使われています。)

実は身近なところでも凝集は起こっています。

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