水道水に塩素が入っている理由|水処理技術

日本ではすべての浄水場で塩素の添加が義務付けられています。

「塩素臭い」「まずい」などと言われることもある水道水ですが、それなのになぜ塩素を添加する必要があるのか、その目的とデメリットを併せて見ていきたいと思います。

塩素を入れる目的は消毒のため

水道水は河川や地下水などの原水を汲み入れ処理してつくられます。これらの原水はそのままだと大腸菌などの病原菌を含んでおり、私たちがそれを飲用することで様々な病気を引き起こしてしまいます。

そのため、広範囲の微生物種に効果が期待できる塩素によって消毒を行っています。

主に使われるのは次亜塩素酸ナトリウム

塩素消毒には、主に次亜塩素酸ナトリウムが使われます。

これは、私たちの身近なところでもよく使われている薬品で、キッチン用の塩素系漂白剤やお風呂のカビ取り、パイプ洗浄剤などに使用されています。

水道水中の塩素濃度

水道法では給水栓の末端で、遊離残留塩素が0.1mg/L以上であることが定められています。これは、消毒によって塩素を消費しても消毒効果を維持し続けるためです。(結合残留塩素では0.4mg/L以上)

塩素を添加することのデメリット

塩素を添加することによるデメリットもいくつか存在します。それは主に次の3点です。

・塩素が水中の有機物と反応すると、発がん性のあるトリハロメタンなどの有害な副生成物ができてしまう。

・フェノール類などとの反応によって、臭気が発生してしまう。

・クリプトスポリジウムやジアルジアなど、塩素に耐性のある微生物へは消毒効果がない。

トリハロメタン

メタンの水素原子3つがハロゲン元素(Cl、Br、F、I)で置換されたものをいい、代表的なものにクロロホルムがあります。

クリプトスポリジウム

塩素に耐性をもった微生物で、感染によって呼吸器、胆のうを侵し、はげしい下痢の症状を起こします。日本では、1996年に埼玉県で集団感染の事例があります。

こういった、塩素に耐性のある微生物に対しては、塩素消毒に加えて、紫外線照射などで補完することがあります。

塩素臭と感染症はトレードオフの関係

上下水道(及び医療技術)が発達する以前の日本では、多くの人びとがコレラや赤痢、チフスといった水系感染症に苦しんでいました。しかし、幸いにも、現在日本に住むほとんどの人達がそれらを意識することなく生活できています。悪い側面が目立ってしまう塩素の添加ですが、多くの水系感染症とのトレードオフの状態にあることも知っておく必要があると思います。

ワードの英語訳あります

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