BOD(生物化学的酸素要求量)・COD(化学的酸素要求量)とは?|水質項目

BOD(生物化学的酸素要求量)とは

BODとはBiochemical Oxygen Demandの略で、日本語では生物化学的酸素要求量と呼ばれ、水中の有機物が好気性微生物によって分解されるときに消費される溶存酸素量を表し、単位はmg/Lが用いられます。

BODは、有機物汚濁を表す水質指標のひとつで、河川の環境基準(生活環境項目)や下水処理場の放流水の水質基準などに用いられています。

前述のように、BODは有機物が好気性微生物によって分解されるときの溶存酸素量を表すものですが、不確実性により、その値が大きくも小さくもなる可能性があり、曖昧さを含んだ指標でもあることを理解しておく必要があります。

なお、値が上下に振れてしまう原因として以下のような状況が考えられます。

大きくなる; 窒素による汚濁がひどい場合、アンモニアから亜硝酸や、亜硝酸から硝酸に酸化される時に酸素が消費され、この消費がBODにカウントされてしまった場合。

小さくなる; 毒物など何らかの影響で水中の微生物の活動が鈍化し、水中に有機物があるにも関わらず、微生物が十分に活動できないことにより、溶存酸素の消費量が減少してしまった場合。

COD(化学的酸素要求量とは)

CODとはChemical Oxygen Demandの略で日本語では、化学的酸素要求量と呼ばれ、酸化剤を用いて試料水を酸化処理したときの酸化剤の消費量を酸素量に換算し表したもので、単位はmg/Lが用いられます。

水中の被酸化物は主に有機物ですが、その他に第一鉄塩、亜硝酸塩、硫化物なども含まれ、工場排水、下水、し尿などによる汚濁指標となります。

酸化剤には、過マンガン酸カリウム(KMnO4)と重クロム酸カリウム(K2Cr2O7)の2種類があります。そのため、測定値には使用した酸化剤の種類を明示する必要があり、過マンガン酸カリウムを使用した場合はCODMn、重クロム酸カリウムを使用した場合はCODCrとします。

日本では過マンガン酸カリウムが常用されていますが、欧米をはじめ、世界の多くの国々では重クロム酸カリウムが使用されています。重クロム酸カリウムの方が酸化力が強く、測定値が大きくなるため、日本と他国のCOD値を比較する際には注意が必要です。

河川はBOD、海はCOD

河川ではBODが用いられますが、湖沼や海域ではCODが用いられます。

これは、水が停滞しているところでは、植物プランクトンが多く存在し、その植物プランクトンは、光があると二酸化炭素を吸収し酸素を排出、光がないと水中の酸素を消費し二酸化炭素を排出するという性質が測定値に影響するためです。

BODは光を遮断して測定しますが、このとき、水中に植物プランクトンが多く存在すると、消費された酸素が微生物によるものか、植物プランクトンによるものなのかを区別できません。したがって、湖沼や海域など比較的水が停滞しているところではCODを測定します。

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