2019年12月5日東京ビッグサイトで行われた、第1回日経SDGs大賞の表彰式でコニカミノルタ株式会社が大賞を受賞しました。これを受けて、どのような取り組みをされているのか学びたいと思い、同社が発行するCSR報告書の2019年版を拝読させていただきましたので、ここでは私が(SDGs推進の上でも)大事なポイントと感じた3点をご紹介します。
1. 自社の強みとニーズがSDGsの目指す未来と合致している
1つ例をあげると、近年、危機感の高まりつつある労働力不足の問題に対して、コニカミノルタの強みの1つであるIT技術を駆使したソリューション開発を活かした提案がされていました。
特に介護の現場においては、介護する側の業務効率向上だけでなく、データ分析に基づく効率化により、介護を受ける側の負担も軽減するなど、総合的な改善提案がされています。
提案方法も、漠然とした未来絵図ではなく、現実的に直面し得る問題に対して、業務の改善率や施設入居者の睡眠の質を表したデータなど、具体的な数値もあわせて示すことで、現場からも受け入れられやすくなるのではと思います。
ユーザーの目線に立った開発から提案が行われ、それが結果的にSDGsとの整合がとれている良いモデルだと感じました。
2. 野心的な環境目標を掲げている
多くの企業が事業活動によるCO2排出量分を製品の省エネ性能などによる削減量によって相殺する「実質CO2排出量ゼロ」を掲げていますが、コニカミノルタでは、2050年には排出量を上回る削減効果を上げる「カーボンマイナス」を達成することを目標に掲げています。また、日本企業ではまだ20社しかいない、再生可能エネルギー100%での事業運営を目標とする国際的イニシアチブの「RE100」にも参加しています。
他社よりも一歩進んだ目標設定や、国際的な活動への参加など、意欲的で、かつ客観的にも分かりやすい点が評価されており見習う点でもあると思います。
3. 首尾一貫した製品提案までのフローが確立されている
全体的な印象になりますが、世の中にある(またはこれから浮上するであろう)問題を的確に捉え、その問題に対して自社の強みからソリューションを開発し、そして、それらを現場へインストールすることで、どういった利点があるかを客観的に分かりやすく提案する。といった開発から提案までの一貫したフローが確立されていると感じました。
トップコミットメントの中に同社のコンセプトとして記載されている“B to B to P for P”(PはProfessionalとPerson)が事業運営の上で、社外から見ても感じられるほど体現されていると思います。これを、社員4万人をかかえる企業で実践されており、このメソッドは、多くの企業が学ぶべきことではないかと思います。
おわりに
技術者の自己満足でスペックを追い求める時代からは大きく変わってきており、これからは、単純に本業に加えて環境活動や社会貢献活動をやっておけば良いなんてことでもなく、事業運営の中でいかに社会に必要とされる働きができるかが重要で、それらが経営に与える影響も大きくなっていくと見込まれます。
ビジネスチャンスと捉えれば企業は動きます。SDGsの達成に向けては、消費者としての私たちの行動にもかかっています。