今回は電力と電力量、そして電気エネルギーが変換されて発生する熱についてです。
電気は目に見えないためなかなか実感がわきにくいものですが、この熱の利用は身近なさまざまなものに応用されています。
Ⅰ.電力と電力量
1.電力とは
電球や電動機といった負荷に電流を流すと、ここで電気エネルギーは他のいろいろなエネルギーに変換され仕事をします。
1秒あたりに消費される電気エネルギーのことを電力といい、量記号はP、単位はWで表されます。
電圧V[V]で、I[A]の電流が流れた時の電力P[W]は次の式で表すことができます。
また、この式のVまたはIにオームの法則を応用することで、次のような式も成り立つことがわかります。
2.電力量とは
消費された電気エネルギーのことを電力量といい、量記号はW、単位はW・sで表されます。(単位は他にもいろいろなものが使われます。)
電力をP[W]、時間をt[s]とした場合、t秒間に消費された電力量W[W・s]は次の式で表すことができます。
単位変換
W・sはそのままJ(ジュール)に置き換えることができます。
Ⅱ.ジュールの法則・ジュール熱
1.ジュールの法則・ジュール熱とは
図1のようにニクロム線(抵抗R[Ω])に電圧V[V]を加え、電流I[A]をt秒間流すと熱エネルギーが発生します。
これをジュール熱といい、この熱量Q[J]は次の式で表すことができます。
この式は、ジュールが見つけたもので、これをジュールの法則といいいます。
2.ジュール熱の発生
電子が導体の中を移動するとき、原子(陽イオン)と衝突することで原子の熱運動が激しくなり、その結果、熱が発生します。
3.ジュール熱の応用
ジュール熱によって発熱する性質をもった材料を発熱材といいます。
発熱体には、ニクロム線(ニッケルクロム線)や鉄クロム線のような金属製のものや、炭化ケイ素やカーボランダムなどの非鉄金属のものがあり、クッキングヒーターや電気ストーブ、電気毛布などに使われます。
この他にも、ヒューズや配線用遮断器、スポット溶接機にも応用されています。
4.許容電流
電線に電流を流すと、電線がもつ抵抗によりジュール熱が発生して温度が上昇します。
これにより絶縁被覆を劣化させ、万が一溶解し短絡につながった場合、発火に至る危険性があります。
そのため、電線には安全に流すことができる電流の最大値が決められており、これを許容電流といいます。
なお、許容電流は電流の種類や使用される環境によって異なるため注意が必要です。