抵抗率と導電率、抵抗温度係数|直流回路

今回は抵抗率と導電率、そして抵抗温度係数についてです。
抵抗率とは物質のどんな性質を表すのか、また導電率とどういった関係性があるのかを見ていきます。

Ⅰ.抵抗率

Ⅰ-1.抵抗率とは

抵抗率は、長さ1m、断面積1㎡の物質がもつ抵抗値のことで、量記号はρ(ロー)、単位はΩ・m(オーム毎メートル)を用います。
長さl[m]、断面積A[㎡]、抵抗R[Ω]の導体の抵抗率ρ[Ω・m]は次の式で表すことができます。

一般に導体は長さが長いほど電流が流れにくくなり、断面積が大きいほど電流が流れやすくなります。(導体の抵抗は長さに比例し、断面積に反比例します。)

Ⅰ-2.抵抗値を求める

式1から、抵抗率ρ[Ω・m]、長さl[m]、断面積A[㎡]の導体の抵抗R[Ω]は次の式で求めることがきます。

Ⅰ-3.主な金属の抵抗率

表1に主な金属の抵抗率を示します。(Wikipediaより)

Ⅱ.導電率

Ⅱ-1.導電率とは

抵抗率とは反対に、電流の流れやすさを表したものが導電率で、量記号はσ(シグマ)、単位はS/m(ジーメンス毎メートル)が用いられ、次の式で表すことができます。

式3からも分かるとおり、導電率は抵抗率の逆数のことです。

Ⅲ.抵抗温度係数

Ⅲ-1.抵抗温度係数とは

物質の電気抵抗はその材質によって大きく異なりますが、同じ材質でも温度によって大きく変化します。
温度が1℃変化したときに抵抗値が変化する割合を抵抗温度係数といい、αで表します。

上の図2から、t1[℃]のときの導体の抵抗がR1[Ω]、温度がt2[℃]まで上昇したときの抵抗がR2[Ω]であるとすると、1℃あたりの抵抗の変化は次式で求めることができます。

温度がt1[℃]のときの抵抗温度係数αt1は、温度が1℃上昇したときに、基準となる温度(t1[℃])のときの抵抗値に対してどれだけ抵抗値が変化したかの割合であるので、次の式で求めることができます。

t1[℃]のときの抵抗をR1[Ω]、抵抗温度係数をαt1とすると、t2[℃]のときの抵抗R2[Ω]は次の式で求めることができます。

Ⅲ-2.温度が上昇しても抵抗値が上昇しない物質もある

金属の中にも、マンガニン線(電気抵抗線用の合金)のように温度が上昇してもほとんど抵抗値が変化しないものもあります。また、サーミスタは抵抗温度係数が大きく、温度変化によって抵抗値が大きく変わるため温度センサーなどに用いられています。