植物工場の仕組み

赤字工場も多くまだまだ普及はこれからといったところで、世間一般には未だ謎が多い植物工場ですが、その仕組は基本的には製造業や食品工場に似たところがあります。
ここでは、太陽光型植物工場を例に基本的な仕組みを解説します。

Ⅰ.太陽光型植物工場の仕組み


まずは、図1をご覧ください。

図1は植物工場で行っている制御を簡単に表したものです。
植物工場では主に次の「データ収集」と「機器にフィードバック」を常に繰り返すことで栽培環境を制御しています。

1)データ収集

まずは、栽培環境を把握するためリアルタイムのデータが必要になります。
温度・湿度・CO2・日射量・肥料の水質などさまざまなセンサーを用いて室内外の環境を測定し、取得したデータは中央のコンピューターに集められます。

2)機器にフィードバック

そして、集められたデータをもとに、中央のコンピューターから窓や空調機、CO2ユニット、肥料ユニットなど、それぞれの機器に最適な栽培環境を維持するよう指示が出ます。

これらのプロセスが常に繰り返されることで最適な栽培環境が維持され続けます。

3)要所要所で人の介入も

また、人の介入が一切ないわけではなく、より良い栽培環境を整えるため、常にこれら環境データと生育状況を把握し方向性を見直すなど、改善に向けた取り組みを行っています。その他にも、たくさんのセンサーや機器が備えられていることからも分かるように、センサー類やコンピューターから指示を受ける機器類は本来の性能が正しく発揮できるようメンテナンスをされていなければなりません。
したがって、一般的な農作業としてイメージされるものとは異なるかもしれませんが、植物工場にはたくさんの人が関わっています。

Ⅱ.さいごに


「植物工場」という言葉は、私たちに「植物を何か得体の知れない特殊なテクノロジーをもって無理やり成長させている」ようなイメージを与えかねない響きですが、多くはその栽培環境を工業的な技術をもって最適化しようというもので、製造業や食品工場のつくっているものが「農作物」に置きかわったものだとイメージすれば少し身近に感じられるかも知れません。