数年前のある日、突然心臓が血液を送り損ねたようなとても弱い鼓動と、その反動でドクンと一気に脈打つような大きな鼓動とを不規則に繰り返し始めました。
病院へ行くと「心室性期外収縮」と診断され、そこから約4年間に及ぶ不整脈との生活が始まりました。
しかし、そこから数年後のある時、医学書とは全く関係のないある本と出会って実践したところ、不整脈の発作がピタッとおさまりました。
しかも、そこで行動したのは、ただ「呼吸をする」ということだけでした。
これからここに書き記すことは、私の経験上の話で、医学的な知見に基づくものではありませんが、同じように不整脈で苦しむ方が、もしかしたら同じ方法で改善するかも知れない、その期待を込めて少しでも多くの方に届いて欲しいと思います。
原因はストレス?
部署内でそこそこ責任のある仕事を任されるようになり、やる気に満ち溢れていたなか、突然勤めていた事業所を閉鎖し、その事業の拠点を移すことが決まりました。
とても残念な思いはありましたが、経営判断なので仕方ないと気持ちを切り替えてその時のやるべき仕事に集中しました。
そして、なんとか事業所の閉鎖というひと仕事をやり終えた私は、他の事業所に異動となりました。
そこからでした。
毎日2時間におよぶ部門長からの叱責では、前にいた事業所の批判や自部門に対する不満を他の誰でもなく私だけにぶつけたり、私の人格を否定するような発言などのほか、マイクロマネジメントによって業務の進捗状態を逐一細かく監視され、日々神経をすり減らしていました。
そんななか、前述したような、とても弱い鼓動と大きな鼓動とを不規則に繰り返す不整脈の発作が始まりました。(のちに、数ヶ月会社を休むことになりますが、ここでは触れません。)
薬を飲み続けるも
主治医の診察では、症状はあまり酷くないので薬を飲んで経過を見ながら治療をすすめていこうというものでした。
自分でもネットで検索した限りでは、症状の重い人は一日に何万回と発作が出ているという情報もあり、幸い私はそのような事はなかったので、主治医の言う通り、薬を飲みながら不整脈と付き合っていくことにしました。
しかし、当初は「酷くないからそのうち収まるだろう」と楽観視していましたが、症状は酷くはならないものの、ほとんど現状維持のまま元々の全く気にならない状態に戻ることはありませんでした。
本との出会い
その本を手にとった時は、期外収縮を治すためなんて全く考えていませんでした。(そのときの精神状態をうつしだしていたのかもしれませんが、)その時は、よくある自己啓発本のひとつで「まあ、読んでみよっかな」くらいのノリで読み始めたその本の一節には「呼吸をする」ことが書かれていました。それも何か特別な呼吸法などではなく、普段している呼吸をごくごく当たり前に行うというものでした。
私はその「呼吸をする」ことを実践してみました。
すると、まず普段の生活の中に呼吸をしていない時間、呼吸を止めてしまっている時間がたくさんある事に気が付きました。考え事をしている時。スマホを見ている時。何かにムカついた時などなど。
そこで、場面場面で自分を観察し、呼吸が止まっている事に気づいた時は、落ち着いて、「呼吸をする」ことをしっかり意識することにしました。
意識して呼吸をしてみることで、なんとなく冷静にものごとを見て、考えられるような気がし、なんとなく少しだけ心が上を向いている様な気持ちになりました。
そんなこんなで、しばらく意識して「呼吸をする」を実践していると、ある日「あれ?しばらく不整脈出ていないな。」という事に気がつきました。
今だからこそ思うこと
医学の知識がないので、呼吸をすることが直接不整脈が収まったことに寄与したのかどうかは分かりませんが、不整脈と付き合いながら生活していた4年の間にも改善する方法を探し、いくつか実践しながらも改善に至らなかった中、呼吸を意識したタイミングでピタッと収まったことから、何か良い影響があったのではと思っています。(呼吸と心臓の働きに関係があるのか、呼吸することでストレスの軽減に役立ちそこから収まったのか…)
それに、今までもストレスがかかった時に呼吸が止まっていたことに気づかなかったわけではなかったのですが、問題に思ったことがありませんでした。
「呼吸をする」なんて当たり前のことですが、過度なストレスなど、普段と違う時は、知らない間に当たり前のことが出来なくなっている時なのかも知れません。
気づかせてくれた本
さいごに、私に「呼吸をする」ことを気づかせてくれた本は
人生は楽しいかい?
ゲオルギー・システマスキー 著 北川貴英 監修
です。
ロシアの格闘技であるシステマについて、その根幹となる考え方などを物語で分かりやすく紹介している本です。
ここで紹介した「呼吸をする」以外にも、ごくごく当たり前のことで、だけど見落としがちなことなど、自分を見つめ直す良いきっかけになり、私にとって、私の人生を一段回前に進めてくれた本のひとつです。
何か行き詰まった時に、自分に冷静さや気持ちを整えるきっかけを与えてくれる本でした。